にきび(尋常性ざ瘡)

にきびはとても身近な皮膚トラブルですが、にきび跡になってしまうと治療が難しくなるので、早めに病院で治療をすることが大切です。
にきびは毛穴の中に皮脂や角質がつまり、つまった毛穴でアクネ菌が炎症を起こして生じます。
当院では毛穴のつまりを改善させるアダパレン(ディフェリン)や過酸化ベンゾイル(デュアック、べピオ)、それらの合剤(エピデュオ)などの外用薬を処方します。炎症がある場合は、加えてアクネ菌や炎症に有効な抗菌薬の外用薬・内服薬を併用する場合もあります。
それ以外の治療の選択肢として、にきびの中にたまっている角質や皮脂、膿などを押し出す面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)や漢方薬、ビタミン剤の内服薬を併用することがあります。
またケミカルピーリングやイソトレチノインの内服治療などの自費治療もあり、症状や患者様のご希望にあわせて治療を提案しております。

湿疹

皮膚表面に赤みやブツブツ、小さな水疱などがみられている状態を湿疹(皮膚炎)といいます。かゆみを我慢できずに爪を立てるなどして掻き壊せば、さらに症状は悪化していきます。
原因は内的要因と外的要因があるとされ、これらが合わさるなどして皮膚の炎症などが起き、湿疹が生じるといわれていますが、原因がはっきりせず、わからないことも多いです。
なお内的要因とは、アトピー素因(アレルギーを生じやすい体質)、皮膚バリア機能の低下、皮脂や発汗の量が減少あるいは過剰な状態にあるなどがあります。また外的要因としては、薬剤、食物、金属、ダニ、ハウスダスト、細菌、真菌などがあります。
湿疹とは皮膚炎が起きる疾患を総称した呼び名で、接触皮膚炎(かぶれ)、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹などが含まれます。
治療は原因が特定されない場合も含めて患部にステロイド系外用薬の塗布をすることが多いです。原因物質があれば、それを避ける環境づくりにも努めます。また強いかゆみの症状があれば、抗ヒスタミン薬の内服薬を併用することもあります。

じんましん(蕁麻疹)

皮膚表面の一部に何の前触れもなく、赤みのある盛り上がった腫れ(膨疹)が強いかゆみの症状と共に現れます。典型的なじんましんは、皮疹が出ては数時間~24時間以内に跡形もなく消えていくことを繰り返します。
重症の場合は呼吸器症状や消化器症状、血圧の低下などがみられることがあり、その場合は救急要請をすることも検討が必要です。
原因はアレルギー反応をはじめ、物理的な刺激、ストレスや発汗などによって引き起こされることもありますが、7割以上は原因がはっきりしないとされています。
発症から6週間以内であれば「急性じんましん」、6週間以上経過しても皮疹が繰り返されるのであれば「慢性じんましん」とよばれます。
慢性じんましんになると長引くことが多くなるので、早めにしっかり治療をすることが大切です。
治療は抗ヒスタミン薬の内服、症状が激しい場合は他の内服薬も併用することがあります。アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)など、原因がはっきりしている場合は除去あるいは避けるなど、環境を整えます。コントロール不良の場合は注射薬などの選択肢もあります。

アトピー性皮膚炎

慢性的(成人6ヶ月以上、乳児2ヶ月以上)にかゆみのある湿疹を繰り返す疾患で、アトピー素因(家族歴や既往歴にアトピー性皮膚炎、気管支喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎などがあること)を伴うことが多いといわれています。
多くは乳幼児期に発症し、早い方では生後2~3ヵ月後には生じるとされています。小児期に治っていくことが多いですが、思春期以降も症状が持続したり、成人になってから発症することもあります。
近年アトピー性皮膚炎の原因として皮膚の保湿因子の遺伝子異常が指摘されており、保湿の重要性が唱えられています。
なお皮膚症状に関しては年齢によって異なります。乳児期の間は顔面や頭部を中心として、多くは赤く湿り気のある湿疹がみられます。幼児期になると顔面や頭部の湿疹は減少し、首周りをはじめ、肘や膝の屈曲部、脇の下などの部位に発症し、カサカサと乾燥した状態(苔癬化)になっています。また思春期や成人でも症状が続く、発症するという場合は、顔面や頸部のほか、上半身を中心に紅斑や色素沈着がみられるようになります。
治療としては保湿、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬、デルゴシチニブ外用薬、ジファミラスト外用薬などの外用療法を主に行います。また、かゆみの症状が強ければ、抗ヒスタミン薬の内服薬を併用します。
このほか、日頃からのスキンケアも大切です。例えば、保湿クリームを塗布して皮膚の乾燥を防ぐ、肌を常に清潔に保つなどの対策は欠かせません。
また、従来の治療ではコントロール不良の中等症以上のアトピー性皮膚炎に対して生物学的製剤やJAK阻害薬などの新しい治療薬も登場しております。

接触皮膚炎(かぶれ)

一般的には、かぶれとよばれます。この場合、皮膚に何かしらの物質が触れることで炎症が起きます。症状としては、接触部位に一致して赤みや小さな水疱などの湿疹が生じます。
原因物質によって、毒性により誰にでも生じうる「刺激性接触皮膚炎」と、アレルギー機序により感作された人に生じる「アレルギー性接触皮膚炎」に大きく分けられます。
原因物質は金属製品(ニッケル、クロム、水銀など)や植物、食物、ゴム製品、洗剤、染髪剤、化粧品など多彩です。
かぶれの原因を特定するために、皮膚炎を引き起こしやすいとされる物質や疑わしい物質を含んだパッチを皮膚に貼り付け、炎症の有無を調べるパッチテストを行うこともあります。
治療は原因物質が特定されていれば、かぶれるものには触れない環境づくりが必要です。
かぶれの症状を抑える治療としては、ステロイド系外用薬を使用します。また抗ヒスタミン薬の内服薬などを併用することもあります。

虫さされ

虫刺症ともよばれます。虫さされは、昆虫(蚊、アブ、蜂、ノミ、ブユなど)がもつとされる毒物や分泌物などが体内に注入され、それらによるアレルギー反応によって様々な症状が生じることをいいます。
症状は軽度から重度なものまで様々です。蚊に刺された場合は、患部は赤く盛り上がるほか、かゆみも生じます。程度としては軽度ですが、かき壊すなどして症状が悪化するととびひに至ることもあります。また注意しなくてはならないのは、スズメバチやアシナガバチなど毒性の強いハチに刺されたケースです。症状としては、発赤、腫脹、疼痛などがみられます。これを繰り返すとハチの毒成分に対するアレルギー反応がみられ、アナフィラキシーショックを引き起こすこともあります。
治療はステロイド外用薬の塗布や抗ヒスタミン薬の内服などが用いられます。
虫に刺されないように、野外活動の際には黒っぽい服を着ないようにし、皮膚の露出をさけて、虫除けスプレーを塗布するなどの予防が大切です。

水虫

白癬菌とよばれる真菌(カビの一種)が、足の皮膚に感染することで発症する皮膚症状のことを一般的には水虫とよびます(正式な疾患名は足白癬)。白癬菌は足以外にも、頭部(しらくも)や股部(いんきんたむし)、手、爪、体部、顔面などどこでも感染しますが、全体の半数以上は足白癬です。
感染経路については、白癬菌が皮膚表面に付着して、高温多湿の状態が12~24時間続くと感染するといわれています。
足拭きマットやスリッパの共用、トレーニングジムやサウナ、プールなどは感染しやすい環境です。また足に細かな傷があるなどすれば、通常の半分程度の時間で感染に至るようになるといわれています。
水虫は大きく3つのタイプ(趾間型、小水疱型、角質増殖型)に分類されます。

趾間型

足の指の間に発症する水虫で、感染部位に紅斑や小さな水疱がみられ、皮がボロボロ剥けるようになります。かゆみの症状も現れます。

小水疱型

足の指の付け根、土踏まず、足の外側の部分(側縁)に小さな水疱が多発するタイプです。この場合、かゆみは水疱発生時にみられるとされ、数日後には皮がボロボロ剥けるようになります。

角質増殖型

非常にまれとされるタイプで、かかとをはじめ足底全体に角質層の肥厚化がみられるようになります。痛みやかゆみの症状はみられませんが、かかとにひび割れが起きると痛みが出るようになります。
治療を行うにあたっては、まずは足を清潔に保つことに努めます。そのうえで、趾間型や小水疱型は抗真菌薬の外用薬による薬物療法をします。
角質増殖型や爪白癬では、外用薬では効果が乏しいことがあり、その場合は抗真菌薬の内服による治療も検討します。内服の場合は定期的に血液検査を行います。

いぼ(尋常性疣贅)

ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症する、皮膚の小さなできものを一般的には「いぼ」とよびます。
いぼは、皮膚の小さな傷からHPV(主に2・27・57型)が皮膚細胞に入り込むことで、感染し発症するとされています。子ども~ご年配の方まで、全世代で発症する可能性がありますが、とくに小児にみられやすいです。発症しやすい部位は、手の平、足の裏、顔面、頸部などです。
痛みやかゆみなどはほぼありません。発症部位などによって形や見た目などは異なりますが、いぼの中に小さな血管が混在しているので、いぼの中に小さな黒い点が見えることが特徴です。
自然に消失することもありますが、ウイルスによる感染なので、拡大するリスクがあります。
一般的な治療は液体窒素による凍結療法です。この場合、-196℃の液体窒素をいぼの部分に当てて凍結させます。治療中や治療直後は痛みが伴います。1回で治らないことが多いので、1〜2週間に1回治療を継続していきます。治療間隔を空けすぎるとウイルスが増えて、いぼが増数することがあるため、治癒までこまめに継続的に治療していくことが大切です。
液体窒素による凍結療法以外にはヨクイニンなどの漢方薬の内服、ラジオ波メスや炭酸ガスレーザーによる除去などの治療法があります。

やけど(熱傷)

皮膚や粘膜が高温なものに一定時間以上触れてしまうことで、皮膚組織が傷害されている状態を一般的には「やけど」とよび、医学的には「熱傷」といいます。このやけどは症状の程度によって、Ⅰ度~Ⅲ度に分類されます。
Ⅰ度とは、皮膚の表面でやけどがとどまっている状態です。紅斑や浮腫がみられ、ヒリヒリした痛みがみられます。
Ⅱ度は、やけどによる傷害が真皮にまで達している状態です。さらにこの場合は、比較的浅い場合を「浅達性Ⅱ度熱傷」、真皮の深い部分にまで達していると「深達性Ⅱ度熱傷」に分けられます。
Ⅱ度のやけどでは、水疱やびらんがみられます。浅達性であれば、水疱の下は赤くただれた状態で、痛みが強く現れるのも特徴です。深達性では、水疱の下は白っぽくなっています。同タイプは知覚神経も損傷されているので、それほど強い痛みは出ないとされています。
Ⅲ度は最もひどい状態のやけどです。損傷は皮下組織にまで達し、神経もダメージを受けているので痛みも出ません。皮膚は乾燥し、壊死した状態になっていて、炭化などもみられます。
治療に関してですが、やけどをしてしまったら、まずはすぐに流水で患部を冷やし続けてください。服の上からやけどを負った場合は、その状態で冷やすようにします。30分程度は冷やしてから医療機関を受診するようにしてください。
このように初期にしっかり水冷を行うことで、鎮痛消炎をはかり、病変拡大や浮腫を抑制することができます。
治療は、やけどの程度によって異なります。Ⅰ度や浅達性Ⅱ度の場合は、炎症を抑制する軟膏を塗布する治療が中心となります。深達性Ⅱ度は、傷跡が残りやすく、治療期間も長引くとされています。感染予防対策もしながら軟膏治療、壊死組織を除去するなどしていきます。Ⅲ度熱傷では、皮膚が欠損した状態となっているので、皮膚を移植する手術が必要となります。

日焼け(日光皮膚炎)

日光に肌が過度にさらされることで起きるとされる皮膚障害を一般的には日焼けと言います。これは日光皮膚炎ともよばれるものです。
この場合、日光に含まれる紫外線を過剰に浴び続けることによって、数時間が経過してから皮膚に紅斑や水疱が現れ、やがて浮腫もみられるようになります(sun burn:サンバーン)。さらに数日が過ぎるとメラニン色素が沈着して、肌の色が濃くなっていきます(sun tan:サンタン)。
日焼けによる症状ですが、軽度であればヒリヒリした痛みや日焼け部位が熱っぽくなり赤みが出ます。ひどい状態になると水疱ができ、衣服がこすれるだけでも強い痛みが出るなどするほか、発熱や倦怠感などの全身症状も現れることがあります。
治療は、症状がそれほど重くなければ、濡れたタオルなどを患部に当てて冷やしていきます。冷却だけでは、痛みや熱感が続くという場合は、ステロイド外用薬を塗布していきます。また水疱がみられる場合は、やけどを負っている状態と同様なので、速やかに医療機関を受診するようにしてください。

ヘルペス

単純ヘルペスウイルスの感染、再発により皮膚や粘膜に水疱などの皮膚症状が生じる疾患です。
ウイルスが皮膚の細かい傷や口、目、性器などの粘膜から侵入し、知覚神経を伝わって神経節に潜伏するようになります。
初回感染時、ほとんどの場合は無症状のため、感染したことに気がつかないこともあります。ただし、乳幼児や持病などで免疫が低下している場合では初回感染でも症状がひどく出ることがあり、高熱やリンパ節の腫れ、粘膜のびらんを生じることもあります。
また女性に多い、性器ヘルペスの場合、初回感染時は皮膚症状だけでなく、排尿や歩行が困難となることもあります。
初回感染後にストレスや感冒などで免疫が低下すると潜伏していたウイルスが再活性化し、神経節から知覚神経を伝って皮膚表面に水疱などの皮膚症状を引き起こし、症状を繰り返すことがあります。
ほとんどのケースでは皮膚の症状から診断できますが、帯状疱疹や毛嚢炎などのほかの疾患と区別が難しい場合もあり、患部の水疱をとって検査をすることもあります。
治療は抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナビルなど)を内服していきます。重症の場合は点滴治療となることもあります。また強い痛みを伴う場合は痛み止めの内服薬を併用することもあります。
口唇ヘルペスや性器ヘルペスを繰り返し、初期症状(ヒリヒリ感などの前触れ)の自覚がある場合はPIT(Patient Initiated Therapy)という、次回のヘルペス症状出現時の薬をあらかじめ処方することも可能です。
性器ヘルペスを頻繁に繰り返す場合は再発抑制療法(抗ヘルペスウイルス薬を長期内服)を行うこともあります。

帯状疱疹

これまでに水ぼうそう(水痘)に罹患したことがある方に発症します。水ぼうそうの原因である水痘・帯状疱疹ウイルスというのは、一度感染すると体内(神経節)に潜伏します。
その後、過労や加齢などによって免疫力が低下するなどすれば、同ウイルスは活性化し、体のどちらか片側の神経支配領域に沿うようにして、チクチク、ピリピリした痛みや違和感がみられるようになります。さらに数日後には、痛みのある部位周辺に帯状の紅斑や水疱などの皮疹が現れ、次第にかさぶたを形成することで治癒するようになります。
発症している神経領域によっては難聴や視力障害、顔面神経麻痺、排尿障害、排便障害が生じることもあるため、専門科の病院への受診をおすすめすることがあります。
皮膚症状は3週間程度で治まるとされていますが、痛みについては持続することがあります。発症から3ヵ月を過ぎても神経の痛みが続く場合は、「帯状疱疹後神経痛」と診断され、痛みをとるための治療を継続していきます。
治療は抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナビルなど)を内服しますが、重症化している場合は点滴治療が必要になることもあります。なお痛みが強く出ている場合は、疼痛をやわらげるため、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、ステロイド薬の内服を行います。
また帯状疱疹後神経痛に対しては、プレガバリンや三環系抗うつ薬などによる薬物療法を行うことがあります。疼痛のコントロールが難しい場合は痛みの治療を専門とするペインクリニックにご紹介することもあります。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

皮膚の深い組織(真皮の深層~皮下組織)にまで細菌感染(主に黄色ブドウ球菌)が及んでいる状態が蜂窩織炎です。同疾患は「蜂巣炎(ほうそうえん)」ともよばれます。ちなみに皮膚の比較的浅い部分での細菌感染(A群β溶連菌、黄色ブドウ球菌など)は、「丹毒」と診断されます。
蜂窩織炎は皮膚にある小さな傷口、水虫の病変部などから細菌が侵入し、皮膚の深い層で感染が拡大することで発症します。足でみられることが多いですが、腕や顔面などのほかの部位でも罹患することがあります。主な症状として、境界が不明瞭な発赤や腫脹が現れ、熱感、疼痛も伴うようになります。
治療は、患部の挙上・安静、クーリング、抗菌薬の内服や点滴投与を行います。原因と思われる細菌にあわせて使用する抗菌薬を選択します。具体的には、セフェム系抗菌薬をはじめ、ペニシリン系抗菌薬、キノロン系抗菌薬などを用います。
重症の場合は入院を要するため、入院可能な医療機関にご紹介することもあります。

乾癬(かんせん)

乾癬とは遺伝的素因や環境因子などの様々な要因によって免疫系が活性化され、赤くなって盛り上がった皮疹が全身に広がったり、鱗屑というカサカサしたフケのようなものが出てきたりする疾患です。
乾癬は「感染」と同じ響きだったり、「癬(たむし)」という漢字が含まれていることから、人にうつったり、虫や菌によるものと勘違いされやすいですが、違います。人にうつりませんし、虫や菌によるものではありません。
乾癬は大きく5つのタイプ(尋常性乾癬、滴状乾癬、膿胞性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎)に分類されます。その中でも、全乾癬患者の9割程度を占めるのが尋常性乾癬です。
尋常性乾癬は、銀白色の鱗屑(皮膚がフケのようにポロポロと落ちる)と境界が明瞭で盛り上がった赤い皮疹が全身にみられる疾患です。20~40代に発症しやすいとされています。全身の中でも物理的な刺激を受けやすい、頭部、肘、膝、お尻、腹部などの部位でよくみられます。このような皮膚症状が慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返します。なお、かゆみの症状は約半数に起きるとされ、爪の変形や関節炎の症状が出ることもあります。
発症の原因は現時点で完全には特定されていませんが、遺伝的要因(乾癬になりやすい体質)に環境的な要因(不摂生な生活習慣や何らかの感染症、薬剤の影響など)が組み合わさるなどして発症するのではないかと考えられています。
治療は症状の程度によって内容は異なりますが、基本は外用療法です。
この場合、ステロイド系の外用薬や活性型ビタミンD3の外用薬が用いられます。また紫外線の照射(光線療法(PUVA、NB-UVB))を行うこともあります。このほか、免疫抑制作用があるとされるレチノイド、メトトレキサートなどの内服療法、あるいは生物学的製剤を用いることもあります。

円形脱毛症

何の前触れもなく突然現れる脱毛症です。多くは、境界がはっきりしたコイン程度(直径2~3㎝)の大きさの円形もしくは楕円形の脱毛斑が1~2ヵ所ほど現れるようになります(単発型)。上記以外には、脱毛斑が多発する(多発型)、頭髪がほぼ抜けてしまう(全頭脱毛症)というものもあります。さらに、円形ではなく、側頭部から後頭部にかけて脱毛がみられる蛇行型脱毛症、頭髪のほか全ての体毛も抜け落ちてしまう汎発性脱毛症も含まれます。
原因については、現時点で特定されていません。ただ自己免疫反応(自身の毛包を攻撃してしまう)やストレスが関係しているのではないかともいわれています。また、アトピー性皮膚炎や膠原病、甲状腺疾患などに合併する例もあります。
脱毛斑が数個程度であれば、自然に治癒することもあります。治療が必要となれば、ステロイドやカルプロニウム塩化物の外用薬、ステロイドの局所注射などを行います。また広範囲に脱毛が及んでいるケースでは、経口JAK阻害薬やステロイドの内服薬、ステロイドパルスなども用いられます。年齢や症状によって液体窒素療法、局所免疫療法(SADBEなど)なども行われます。

多汗症

汗の量が非常に多いために日常生活に支障をきたしている状態を多汗症といいます。
多汗症は発症する部位によって、全身に発汗が多い「全身性多汗症」と局所的に発汗が多い「局所性多汗症」に分けられます。また、原因によって「続発性」と「原発性」に分類され、発汗の原因となる疾患などがある場合を「続発性」、直接的な原因が特にない場合を「原発性」とよびます。
なお何らかの原因が特定できる続発性全身性多汗症では、全身性の病気(内分泌代謝異常、感染症、神経性疾患、糖尿病、低血糖など)が原因となるほか、外傷や悪性腫瘍による局所的な神経障害が原因となることもあります。また内服している薬剤の副作用によるものも考えられます。
局所性多汗症で原発性の場合は、緊張や興奮、運動によって起きるとされています。起きやすい部位としては、手の平、わきの下、足の裏、顔面などです。続発性の原因としては、エクリン母斑などの皮膚疾患、末梢神経障害、脳梗塞、フライ症候群などです。
治療をする場合ですが、原因疾患のある続発性の多汗症については、その病気に対する治療を行っていきます。
原発性の局所多汗症であれば、抗コリン薬の外用薬、塩化アルミニウムの外用薬、イオントフォレーシス(多汗の部位を水道水の入った容器に入れ、その中で弱い電流を流していくことで発汗を抑制する)、ボツリヌス菌毒素注射(ボトックス)などが選択されます。また、全身性の多汗症の場合は抗コリン薬の内服薬を処方することもあります。

巻き爪、陥入爪とは

爪の端がクルッと内側に巻かれてしまう状態になることを巻き爪といいます。痛みや出血、炎症などがなければ治療をする必要は特にありません。
陥入爪は足の親指にみられることが多い症状で、爪の角がとがって皮膚や皮下組織に刺さった状態をいいます。爪が皮膚や皮下組織に食い込むことで慢性的な刺激が加わり、食い込んだ部分に炎症を生じて肉芽腫様に盛り上がります。圧迫すると強い痛みを伴い、傷口から二次感染を生じることがあります。
発症の原因としては、深爪など間違った爪切りをしてしまう、サイズの合わない靴や靴下を履く、スポーツなどによって足の指に強い負荷がかかるといったことが挙げられます。
また、痛みが出ないような歩き方をすることで、歩行時の姿勢が悪くなって、別の部位である膝や腰を痛めてしまうこともあります。このような状態にならないためにも痛みがあれば早めに医療機関で治療を受けるようにしてください。